怒りに負ける人 怒りを生かす人
アンガーマネジメントです。意味不明な経営方針、無能な上司、無能な部下、横暴な客、進まない会議、怒濤の仕様変更、ポロロッカなバグ、既に死んでいるコードのデバッグ、文字が日本語に見えるだけの読めないドキュメント、納期の交渉をしないマネージャー、誰も読まないのに書かされる日報、殺人的に混む終電、笑って見ている同僚、笑い話だと思っている友人、理解を示さない家族、あまりにも無力な自分。怒りの対象は無数にあります。けれど、対処できるのは自分しかいません。誰にも助けてもらえません。それも技術です。
怒りに負ける人怒りを生かす人 [ 安藤俊介 ] |
現時点の最終版 | 1版 |
タイトル | 怒りに負ける人 怒りを生かす人 | |
原題 | - | |
著者 | 安藤俊介 | |
監修者 | - | |
訳者 | - | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2016 | |
原出版年 | - | |
出版社 | 朝日新聞出版 | |
原出版社 | - | |
紙ページ数 | 208 | |
定価 | 1296 | |
分野 | アンガーマネジメント | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | 怒りを正しく表現する技術を学ぶ |
目的合致性 | 3 | 書き方に微妙な違和感がある |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 4 | 違和感のために入ってこない面がある |
長さの合理性 | 4 | もっと文を絞れたはず |
網羅性 | 4 | エッセンスは十分な気がする |
専門性 | 3 | メンタルスキルの専門書とみることもできる |
学習容易性 | 3 | 人を選ぶところがあるか |
エキスパート | 3 | 怒りを克服できていない人は意外といる |
実務家 | 5 | 怒りの塊だろう |
上級者 | 3 | まだ社会の厳しさを知らないのでは |
学習者 | 2 | 今のうちから、という考え方もある |
初学者 | 2 | もどかしさも怒りの内 |
合格
怒りが生じるのは避けがたいが、どう付き合っていくべきかを考えるというアンガーマネジメントについて、必要なことを教えてくれます。怒りを使いこなせれば、人生がどれだけ充実したものになるか、分かった気になれます。翻訳本と違い、日本の風土、日本人の特質に合わせた内容ですから、違和感しかないという残念なことにはなりません。
欠格
怒りをむやみにまき散らしても何もいいことが無いのは誰でも分かります。それでも、怒りに呑まれている状態では何を言っても無駄です。怒りがコントロールできていない人ほど必要な本なのに、それじゃ駄目だ、そんなのは不幸だ、と言われ続けたら、怒っている自分を全否定されているような気分にもなります。「怒りをコントロールできない人が落ち着いた状態」を狙っているのでしょうが、「怒りが治まらずに苦しんでいる状態」に働きかける前文でもあれば良かった気がします。
雑感
私自身が、怒りに支配されてどうにもならない時期に読んだため、さらに悩んでしまった本です。冷静に読めばとてもいいことを書いているのですが。本というのは常に読者の影響を受けますし、それは著者の責任ではないのですが、難しいテーマを扱っているだけに、気になってしまいます。誰か客観的になれる人と一緒に読むといいかもしれません。
VSE標準導入の手引き
管理されていない組織に成功はあり得ません。プロジェクトも組織で行うならば管理が必要です。しかし、一般的なプロジェクト管理プロセスは複雑難解でオーバーヘッドが大きすぎ、適切にテーラリングするスキルが無い管理者には任せられません。テーラリングという言葉さえ知らない似非管理者も多いでしょう。ならばと現れたのが、VSEです。もちろんさらなるテーラリングも可能ですが、VSEはミニマムセットであり、不用意な省略は命取りです。管理には何が必要で不可欠なのか、考えるヒントになります。
現時点の最終版 | 1版 | |
タイトル | VSE標準 導入の手引き | |
原題 | - | |
著者 | 一般社団法人情報サービス産業協会編 | |
監修者 | - | |
訳者 | - | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2014 | |
原出版年 | - | |
出版社 | IAG | |
原出版社 | - | |
紙ページ数 | 91 | |
定価 | 2160 | |
分野 | ソフトウェア開発プロセス | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | VSE標準を実際の現場に適用してもらう |
目的合致性 | 3 | 解説書を名乗っている通り、抽象的な内容に留まる |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 3 | ありがちな用語の不統一・不明確がある |
長さの合理性 | 1 | このページ数にした根拠が見えない |
網羅性 | 5 | VSE自体を網羅してはいる |
専門性 | 3 | 本来高度な話題なのだが抽象的過ぎて伝わらない |
学習容易性 | 1 | 独学は不可能だと思った方がいい |
エキスパート | 1 | 入門書だから仕方ない |
実務家 | 2 | より実際的な知識に貪欲でありたい |
上級者 | 3 | 管理について体系的に学ぶ中での選択肢に入れたい |
学習者 | 1 | 技術に集中した方がいい |
初学者 | 1 | 0に等しい |
合格
VSEというもの、開発プロセスというものについて、軽く紹介する本と捉えましょう。学習するために読む本ではありません。勤勉だが不幸にも無知な管理者が石にかじりついてでもプロジェクトを成功させたいと願うなら、あるいは、管理の経験は無いが組織を任されることになった素人管理職が配下にあるプロジェクトのことを少しでも理解したいと願うなら、VSEの学習から入る手もアリです。下手にPMBOKを開いて絶望するよりはマシですし、自称エキスパートな偽者が書いたくだらないハウツー本に騙されたら終わりです。
欠格
PMBOKもそうだからと高をくくったのかもしれませんが、実際のプロジェクトに当てはめるための具体的な方法論、思考法を示す記述が皆無です。平易な本なので分かった気にはなるでしょうが、いざ自分の仕事に活かそうとすると立ち止まってしまうはずです。分かった気になったその先のステージまでは面倒を見てくれません。PMBOKは分かった気にもなれないので、どっちがマシかという話ではあります。
雑感
実は、私にとってはとてもタイムリーな本で、開発プロセスやプロジェクト管理についての下地もそれなりにあったので、意外と応用が利きました。客観的にとても高くは評価できない本ですが、役立てることができた実例がここにいますから、決して無益ではないはずです。読む人を選ぶんでしょうね。褒め言葉にはなっていませんが。
憂鬱なプログラマのためのオブジェクト指向開発講座
憂鬱なプログラマという言葉は、オブジェクト指向プログラミングについて漠然とした疑問を持っていたり思い込みにとらわれてうまく実践できないプログラマ、という意味です。根暗とか病的とかいうことではありません。
というわけで、数あるオブジェクト指向本から特に紹介したいのがこの本です。オブジェクト指向言語でなければ採用に値しないくらいの勢いで当たり前になっている「オブジェクト指向」ですが、今も昔もろくに理解しないままVBと見分けがつかないVB.NETのコードを量産している「自称プログラマー」が跋扈しています。私はこの本でようやくオブジェクト指向プログラミングという概念をつかみました。自分が「分かっている」のか「分かった気になっているだけ」なのか確認する意味でも、読んでみる価値があります。
現時点の最終版 | 1版 | |
タイトル | 憂鬱なプログラマのためのオブジェクト指向開発講座 | |
原題 | - | |
著者 | Tucker! | |
監修者 | - | |
訳者 | - | |
監訳者 | - | |
出版年 | 1998 | |
原出版年 | - | |
出版社 | 翔泳社 | |
原出版社 | - | |
紙ページ数 | 449 | |
定価 | ||
分野 | オブジェクト指向プログラミング | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | 「オブジェクト指向」という概念に基づいてソフトウェアを開発するための入門書 |
目的合致性 | 5 | 10でもいい |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 3 | 言い回しの堅さが人を選ぶか |
長さの合理性 | 5 | |
網羅性 | 4 | 20年経てば不足も出て当然 |
専門性 | 5 | |
学習容易性 | 5 | Cでプログラミングできる人ならOKと著者も言っている |
エキスパート | 1 | とっくにマスターしたはず |
実務家 | 3 | 迷った時に頼ればいい |
上級者 | 5 | 時代の常識は避けて通れない |
学習者 | 5 | 知らないと先へ進めない |
初学者 | 3 | プログラミングのセンスがあれば十分読める |
合格
徹底したリサーチに基づくだけあって、分かりやすさにおいてその辺の適当なオブジェクト指向本では比較にもなりません。「はじめての」「ゼロから」「すぐ分かる」系の本で軽く触れている程度のことしか知らないで、.NET、Java、Ruby、Pythonなどなど、主流の言語でものが書けると思ったら大間違いです。方法論から実装までを体系的に学ぶ必要があり、この本はそれを実現してくれます。
欠格
もう少し取っ付きやすい表現ができなかったか。気概はものすごく感じられますが、読者にも同様の気概を求めている感じです。もちろん読者が努力してなんぼではあります。しかし、読者は理解に対して努力すべきで、読書のストレスに対して努力するべきではありません。そこだけが気になります。
雑感
当時C++は既に始めていた私ですが、Cと比べて何がそんなに偉いのか疑問でした。同時に、プログラミングに対しては自分なりの方法論があり、C++の方が圧倒的にやりやすいと感じていました。何十冊と関連本を漁る中でこの本を発見し、自分の考えた方法論を洗練させた結果がオブジェクト指向なのだと理解した時は嬉しかったです。
そんな思い出のある本ですが、入手しづらくなってきました。ですがオブジェクト指向プログラミングの時代はまだまだ続きます。いい本こそ残ってほしいものですが、真面目な人が真剣に読む本は売れ行きが悪く絶滅、誰でも読めるがすぐ捨てられる本は売れ行きだけは良く重版、どうにかしてほしいものです。
SQLポケットリファレンス
SQLを使う仕事で、この本が無い状況は考えられません。一人一冊持っていて当たり前。だから紹介するまでも無いのですが、逆に漏らすのも気が引けるので、挙げておきます。SQLリファレンス本として、ポケットリファレンスシリーズとして、最高作品です。
なお、SQLリファレンスなため、NoSQL系は非対応です。対応したら倍のボリュームになるでしょう。無くて正解です。
SQLポケットリファレンス改訂第4版 (Pocket reference) [ 朝井淳 ] |
現時点の最終版 | 改訂4版 |
タイトル | SQLポケットリファレンス | |
原題 | - | |
著者 | 朝井淳 | |
監修者 | - | |
訳者 | - | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2017 | |
原出版年 | - | |
出版社 | 技術評論社 | |
原出版社 | - | |
紙ページ数 | 656 | |
定価 | 2138 | |
分野 | SQL | |
続刊 | おそらく数年後に出る | |
著者による目的 | 新機能への対応、DBMS間の比較 |
目的合致性 | 5 | |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 4 | 若干字が小さいがやむを得ない |
長さの合理性 | 5 | |
網羅性 | 5 | |
専門性 | 5 | 専門家以外に用は無いはず |
学習容易性 | 1 | 学習書ではないため |
エキスパート | 5 | 古い知識は邪魔でしかない |
実務家 | 5 | 必携 |
上級者 | 5 | SQLを知らないと現場で恥をかく |
学習者 | 4 | 忘れがちだがDBの使い方は早い内に学ぶべき |
初学者 | 1 | いきなりDBに飛び込む必要は無い |
合格
実装系の比較の充実は当然ながら、標準SQL(ANSI)ではどうなのか分かるというのが嬉しいです。引数の説明が少し足りない気がする部分もたまにはありますが、このページ数で収めるには仕方ないでしょう。そのくらいは許せてしまうほど、全体としてのクオリティーが高いです。紙という性質上、索引性には乏しいですが、行ったり来たりしながら忙しく読むタイプの資料は、やはり紙が最適だと信じています。
欠格
決められたレイアウトに落とし込むため、早足な記述が多いです。リファレンスというのは既にある程度知っている人が詳しいことを調べたり思い出すための資料なので、多少の情報漏れは許容範囲ですが、知らないけど使えそうな関数の説明が緩い感じだと焦れったさがあります。改めて公式の情報を見るので、支障は無いんですが。
雑感
全ての現場で常に持っていて、改訂されたら必ず買っていた、唯一の本です。時代はクラウド、スマホ、WEB。SQLを隠蔽するAPIが増えていくし、RESTfulがもっと広がればSQLにも変化が起きるかもしれません。そして再び改訂されることでしょう。自分で追いかけるのは手間なので、教えてもらえる本の存在は助かります。
ライト、ついてますか
問題を解決したいなら、その前に考えるべきことがあります。いわゆる、何を考えるかを考える時間です。まず、何が問題なのか。それは誰の問題なのか。本当に解決するべきなのか。そこまで十分に考え抜いた結果、ようやく、どうすれば解決できるのかを考えられます。
この本では何が言いたいのかよく分からないエピソードが延々と続きます。ジョークのように書かれているので退屈はしないでしょうが、途中までは何を理解するべきかさえ分からないはずです。でも、注意深く読み進めた読者であれば、タイトルの意味が分かった時、自分が何を学んできたのかを全て理解します。楽しい体験です。
ライト、ついてますか 問題発見の人間学 [ ドナルド・C.ゴース ] |
現時点の最終版 | 1版 |
タイトル | ライト、ついてますか 問題発見の人間学 | |
原題 | Are Your Lights On?: How to Figure Out What the Problem Really Is | |
著者 | ドナルド・C・ゴース(Donald C. Gause)、G・M・ワインバーグ(Gerald M. Weinberg) | |
監修者 | - | |
訳者 | 木村泉 | |
監訳者 | - | |
出版年 | 1987 | |
原出版年 | 1990(同じ内容の新版しか入手不能) | |
出版社 | 共立出版 | |
原出版社 | Dorset House | |
紙ページ数 | 176 | |
定価 | 2160 | |
分野 | 問題解決 | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | (それを読者に考えさせること) |
目的合致性 | 4 | 分かりづらさは否めない |
一貫性 | 5 | ある意味 |
可読性 | 3 | わざとなのだが、ストレートな書き方ではない |
長さの合理性 | 5 | これ以上長いと頭が変になりそう |
網羅性 | 1 | 何かを網羅する性質の本ではないため |
専門性 | 3 | 全ての人に有用 |
学習容易性 | 1 | ユーモアを理解するなら「5」 |
エキスパート | 3 | 問題解決のリーダーでなければエキスパートとは誰も呼ばないだろうが |
実務家 | 4 | 一仕事終える度に読み返せば、都度気づきがあるはず |
上級者 | 5 | 問題意識を育てる努力が最も必要な時期 |
学習者 | 3 | 笑いながら斜め読みしておけばその後の理解につながる |
初学者 | 2 | 学習書としては厳しいが楽しい本として読める |
合格
理解しようとすれば困惑するが純粋に楽しむ分にはいい読み物になる割に本当の姿は学習書である。面白いじゃないですか。一見して他人のせいだと思える問題でも、よく考えれば自分の問題だったりする。最初に読んだ時は不条理に思えたエピソードも、今では自然に理解できます。「問題」というものに対する姿勢を正してくれる、姿勢正しくない本。どこまでも面白い存在です。
欠格
だからこそ読みづらい。ものすごく理解しづらいです。後からじわじわ来るパターン。アメリカ人がどうなのか知りませんが、途中で投げ出す人も多いのではないかと思います。読みづらさという「問題」をどう克服するか試されている気がします。
雑感
私はこの本を読む前と後で「問題」についての考え方が随分と変わりました。「誰の問題か」という問いを「誰の責任か」という問いに置き換えてはいけない。問題を解決したければ、まず問題を知らなくてはいけない。「問題を知るという問題」の解き方指南です。
マイクロインタラクション
プログラマーといえども、UIデザインができないと仕事にならないのが日本という国です。何より、UIの挙動を作り込むのは紛れもないプログラミング作業です。UIデザインというのは、見た目を作るだけの意味ではありません。そのUIを利用する側の目線に立ち、快適なUXを実現するために努力することの方が、見た目を作ることより何倍も重要です。快適なUXとはどんなUIによって実現されうるのか。知らないわけにはいきません。
マイクロインタラクション UI/UXデザインの神が宿る細部 [ ダン・サファー ] |
現時点の最終版 | 1版 |
タイトル | マイクロインタラクション UI/UXデザインの神が宿る細部 | |
原題 | Microinteractions | |
著者 | ダン・サファー(Dan Saffer) | |
監修者 | - | |
訳者 | 武舎広幸、武舎るみ | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2014 | |
原出版年 | 2013 | |
出版社 | オライリー | |
原出版社 | O'Reilly | |
紙ページ数 | 240 | |
定価 | 2592 | |
分野 | ユーザビリティー | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | あらゆる分野のデザイナー、開発者、研究者、製品管理者、評論家、起業家に、新しいアイディアのきっかけ、見本や模範を提供することを目指す |
目的合致性 | 5 | |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 4 | 一部の画像の視認性が悪い |
長さの合理性 | 4 | 動画の付録があれば、、 |
網羅性 | 5 | |
専門性 | 5 | |
学習容易性 | 5 | 専門書とはいえUIなので誰にでも理解できる |
エキスパート | 5 | どうせ知っているから、という慢心が最大の敵 |
実務家 | 5 | |
上級者 | 5 | |
学習者 | 5 | |
初学者 | 5 |
合格
この本自体のディテールが素晴らしい。微妙な違いではありますが、デザインの本として売っておきながらデザインとして読むに堪えない反面教師が多い中、本で主張する原則を自身にも当てはめていることに、本物の印象を受けます。もちろん、原著者だけではなく、日本スタッフの努力があってこそです。デザインへの情熱と信念が内外に詰まっています。
欠格
インタラクション(相互作用)の話なので、動きをイメージすることが大事です。紙の本では、そこが伝わりきれないと感じます。自分でサンプルを作ればいいのですが。
雑感
神は細部に宿り、悪魔は細部に潜む。細部をおろそかにして、本当のデザインとは言えません。著者が言うように、壮大なデザインを語るのは気持ちいいし、楽しいでしょう。しかし森を見て木を見ない、細部に目を配らないでいると、聖火台の無い五輪会場のようなものができるんです。私は細部までキッチリこだわる人間なので、大切な一冊です。
プロとしてのOracleアーキテクチャ入門
嘆かわしいことに、「データベース」は知っていても「RDBMS」が何の略なのかさえ知らない人が多いものです。"Relational"の意味に至っては、テーブル間のキーのつながりだと思っている人が圧倒的多数です。それならばリレーショナル理論から始めればいいのですが、退屈で死にそうになります。どうせなら技術的な面白さを求めたい。そしてRDBMSとは何であり、どう実現されているのか、理解できればなお良い。これはそういう本です。
プロとしてのOracleアーキテクチャ入門第2版 図解と実例解説で学ぶ、データベースの仕組み [ 渡部亮太 ] |
現時点の最終版 | 2版 |
タイトル | プロとしてのOracleアーキテクチャ入門第2版 図解と実例解説で学ぶ、データベースの仕組み | |
原題 | - | |
著者 | 渡部亮太 | |
監修者 | ||
訳者 | ||
監訳者 | - | |
出版年 | 2015 | |
原出版年 | - | |
出版社 | SBクリエイティブ | |
原出版社 | - | |
紙ページ数 | 400 | |
定価 | 2808 | |
分野 | データベース | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | あやふやな知識ではなく実務で活用できるアーキテクチャの理解を目指す |
目的合致性 | 4 | ハードの知識もないと実務は厳しい |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 4 | 一部の専門用語はプロでも躓く |
長さの合理性 | 4 | 最終章として実装例を見せてほしかった |
網羅性 | 5 | Oracle本としては十分 |
専門性 | 5 | かなりの前提知識を要求する |
学習容易性 | 3 | 経験者は理解できるがここから学び始めるのは無理 |
エキスパート | 3 | 十分知っているはずなので細かい確認のために |
実務家 | 5 | 完璧ではない理解を助ける |
上級者 | 3 | 読んでも分からないだろうが徐々に覚えればいい |
学習者 | 2 | 図を眺めるだけでもいい勉強になる |
初学者 | 1 | 何の助けにもならない |
合格
RDBMSについてこれだけ詳しく説明した資料はなかなかありません。図解入門よくわかる最新Oracleデータベースの基本と仕組みも直感的には分かりやすいですが、プロのエンジニアには物足りないと感じます。現場主義シリーズだけのことはあります。
欠格
Oracleを使った経験が豊富にあっても、RDB理論やDBMSの内部構造について知識が乏しいから、この本を開くわけです。それにしては、不用意に専門用語を使っている印象です。RDBMSを作ったことが無い人、構築したことが無い人を想定した書き方ではない部分があります。ほんのわずかな部分ですから、読むのに支障は無い程度ですが、理論的な話が元々苦手だという人には辛いかもしれません。
雑感
エンジニアは好奇心旺盛でなければなれない職業ですから、レイヤー図、コマンド実行画面、SQL実行計画などを見ているだけでもワクワクするでしょう。技術書こそ楽しく読めるべきだと思っています。とてもエンジニア向けの一冊です。