ゆとりの法則
仕事にゆとりがあると思っている日本人はどれだけいるでしょうか。ゆとりが無いために起きた失敗に心当たりが無い人はいるでしょうか。誰でも分かっていることを、管理職になると忘れてしまう。当たり前に何となく分かっていることを、具体的に詳しく説明しています。
ゆとりの法則 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解 [ トム・デマルコ ] |
現時点の最終版 | 初版 |
タイトル | ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解 | |
原題 | Slack Getting Past Burnout, Busywork, and the Myth of Total Efficiency | |
著者 | Tom DeMarco | |
監修者 | - | |
訳者 | 伊豆原弓 | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2001 | |
原出版年 | 2001 | |
出版社 | 日経BP | |
原出版社 | Broadway | |
紙ページ数 | 232 | |
定価 | 2376 | |
分野 | プロジェクト管理 | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | 少しだけ効率を落とし、大幅に効果を高める方法を教える。 |
目的合致性 | 4 | 読ませる方法を知りたい |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 5 | |
長さの合理性 | 5 | |
網羅性 | 5 | |
専門性 | 5 | 管理の仕事を知らないと難しいか |
学習容易性 | 4 | 全部の理解には経験値が必要 |
エキスパート | 5 | |
実務家 | 5 | |
上級者 | 5 | |
学習者 | 4 | |
初学者 | 3 | 基礎を学んだ後にお勧めする |
合格
内容は何もかも優秀です。どこに「ゆとり」が必要で、どんな効果が期待できるのか、具体的に明瞭に書かれています。そのルールを守らないとどんな副作用が発生するのか、かなりの部分を数字で書いてあります。共感できないという現職の管理者は多いと思いますが、自分の経験がどれほど信頼に足るものなのか、よく考える時間を作るべきです。そんな時間は取れないというなら、既に「ゆとり」が無い証拠です。
欠格
本当に本書を役立ててほしい人にどうすれば読ませられるのか、本書には書かれていません。勉強熱心な読者をさらに数段引き上げるのも、混乱した組織の管理者を説得するための材料を提供するのも、大歓迎です。しかし、学ぶ気も話す気も無い馬鹿にどうアプローチするべきなのかは、心理学や精神医学の本を紐解く必要がありそうです。
雑感
ネットのレビューで「当たり前のことしか書いてない」と書きたがる人はいるもので、本書のような経験則ベースの書籍には特に多いです。だったら答えてほしい。「あなたにこの本が書けるか?」。当たり前だからこそ最も重要です。本書の厳しさをしっかりと感じ取ってもらいたいものです。
実践テスト駆動開発
TDDの本です。まえがきにある通り、TDD自体の解説書なら他に五万とあります。それでもこの本が有用なのは、具体的だから。それがどの程度実践的なのかは別として。
具体的だということは、一般化されていないということです。自分の目の前にある具体的な課題の解決に向けて、自分の頭で応用しなければならないということです。当たり前ですけど。抽象論は必要です。基礎とは常に抽象的なものです。だから「基礎」と言いながら具体論を述べる本があったら、偽物です。この本は基礎を知っている人向けだからこそ、踏み込んだ具体論を展開します。そこにこの本の価値があります。
実践テスト駆動開発 テストに導かれてオブジェクト指向ソフトウェアを育て (Object oriented selection) [ スティーブ・フリーマン ] |
現時点の最終版 | 初版 |
タイトル | 実践テスト駆動開発 | |
原題 | Growing Object-Oriented Software, Guided by Tests | |
著者 | Steve Freeman、Nat Pryce | |
監修者 | - | |
訳者 | 和智 右桂、高木 正弘 | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2012 | |
原出版年 | 2009 | |
出版社 | 翔泳社 | |
原出版社 | Addison-Wesley Professional | |
紙ページ数 | 400 | |
定価 | 4536 | |
分野 | 開発プロセス | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | テスト駆動開発のプラクティスを成功させるためにプロセスの取り込み方を教える。 |
目的合致性 | 5 | |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 3 | 妙な手書きで集中が削がれる |
長さの合理性 | 4 | 詰め込んだ感が強い |
網羅性 | 4 | プロセスの解説に完全網羅は無い |
専門性 | 4 | テスト技法は知っている前提 |
学習容易性 | 4 | カウボーイには厳しいか |
エキスパート | 3 | |
実務家 | 4 | |
上級者 | 3 | |
学習者 | 3 | |
初学者 | 1 |
合格
技法ではなくプロセスに重点を置いた解説書は少ないです。成功している本はわずかです。無駄に分厚いわけではありません。
欠格
翻訳本のノリが日本人の感覚から外れすぎている印象です。題材の「スナイパー」もなんだかよく分かりません。ノリで書いている感じがもっと少なければ、好みが分かれるような残念なことにはならなかったでしょう。そこを翻訳でカバーするのも出版社の仕事だと思うのですが。
雑感
内容は素晴らしいのに、悪ノリが凄くて読む気が失せる。翻訳本の一番駄目なパターンです。なぜそれを日本の出版社は改善しないのか? なぜ訳者はそこに疑問を投じないのか? 学ぶべきことがギッシリ詰まっている本が、日本の風土に合わないという理由で読まれないなら、日本の文化はいつまでも旧時代のままです。どうにかならないのか。
エキスパートCプログラミング
Cがなぜ速いのか。Cの学習がなぜ必要なのか。この一冊を読み込めば分かります。読めればですが。
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現時点の最終版 | 初版 |
タイトル | エキスパートCプログラミング―知られざるCの深層 | |
原題 | Expert C Programming DEEP C SERETS | |
著者 | Peter van der Linden | |
監修者 | - | |
訳者 | 梅原 系 | |
監訳者 | - | |
出版年 | 1996 | |
原出版年 | 1994 | |
出版社 | アスキー | |
原出版社 | Prentice Hall | |
紙ページ数 | 334 | |
定価 | 4657 | |
分野 | プログラミング言語 | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | 学習書ではあるが、楽しみに注意を払っている。Cをマスターした人間が読んだ時、あやふやな知識を強化できる。 |
目的合致性 | 5 | |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 4 | 翻訳本のノリに合わない人も中にはいるはず |
長さの合理性 | 4 | 十分だがきっとまだ先がある |
網羅性 | 4 | 古くはなっていないが最新の話題は当然無い |
専門性 | 5 | 10でも不足 |
学習容易性 | 1 | Cマスターにしか理解不能 |
エキスパート | 5 | |
実務家 | 5 | |
上級者 | 3 | まだ早いか |
学習者 | 1 | 無理 |
初学者 | 1 | 不可能 |
合格
ケチの付けようが無い。Cの進化は著しく、本書の内容は既に「基本中の基本」になっています。C++のイントロダクションはありますが、オブジェクト指向のビルドについては触れていません。それでも価値を失わないのは、コンピュータープログラミングとは何をするものか、という問いに答える最も優秀な本だからです。
欠格
強いて言えば、中途半端にCをかじった自信過剰な自称Cマスターが本屋で手に取っても、何が書いてあるのかも理解できずに「分かりづらい粗悪品」と断じて吹聴されるリスクがあることでしょう。本物のプログラマーにしか理解できない本です。読んでも分からないのは、その人が偽物だからです。優秀さが伝わりにくいというのは、ある種の欠点と言えます。
雑感
日本人には絶対に書けない本です。なぜなら、こんな専門的でプロフェッショナル向けの本を書かせる出版社がいないからです。書ける人材ならたくさんいるはずですが。日本の出版社が書かせたがるのは、肩書きだけ立派な著者による初心者にも分かりやすいという触れ込みの本ばかりです。プロのプロによるプロのための本を書かせる文化がありません。本書のようなものを見ると、つくづく感じます。
QC七つ道具がよ〜くわかる本+新QC七つ道具の使い方がよ〜くわかる本
QC七つ道具をこれで勉強しました。実践的な作図ができるようにはなりませんが、図の意味を細かく理解するための知識が書かれています。
QCは全体的な品質管理を扱いますが、NQC(新QC)は製造現場の工程管理に重点を置いている印象です。それでも、ソフトウェア開発のプロとして、参考になる知見が数多くあります。
QC七つ道具がよ〜くわかる本 問題を「見える化」する最適ツール! (図解入門ビジネス) [ 今里健一郎 ] 新QC七つ道具の使い方がよ〜くわかる本 言語データから情報を得るツール! (図解入門ビジネス) [ 今里健一郎 ] |
現時点の最終版 | 初版 |
タイトル | 図解入門ビジネスQC七つ道具がよ~くわかる本/新QC | |
原題 | - | |
著者 | 今里健一郎 | |
監修者 | - | |
訳者 | - | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2009/2012 | |
原出版年 | - | |
出版社 | 秀和システム | |
原出版社 | - | |
紙ページ数 | 196/192 | |
定価 | 1404 | |
分野 | 品質管理 | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | 問題を「見える化」して管理と改善に役立てる |
目的合致性 | 3 | 実践的ではない |
一貫性 | 4 | |
可読性 | 4 | |
長さの合理性 | 2 | 数式くらい具体例がほしい |
網羅性 | 3 | |
専門性 | 4 | 意外と数学的 |
学習容易性 | 2 | 数学必須 |
エキスパート | 3 | |
実務家 | 3 | |
上級者 | 4 | |
学習者 | 4 | |
初学者 | 3 |
合格
七+七つ道具の使い所が分かる内容です。普通は手法だけ教えてくれても「いつ何のために使うのか」分からなかったりします。この本でそこが分かるため、改めて実践的な本に入っていけるでしょう。
欠格
数学にアレルギーを持つ人が、日本人にはなぜか多いです。合理的予測とは、統計をうまく扱うことです。それをはっきり教えてくれればいいのですが、数学嫌いに敬遠されたくないのか、数学をガンガン使っている割に、こういう数学を知っていないと無理ですという断り書きがありません。編集方針ではあるんでしょうが、中途半端感が否めません。
雑感
この本の前に統計理論の基礎を学んでおいて、この本の後に実践的なQC活動を学ぶという順序が正しいと思います。だからといって、その順序を絶対守るべきかと言えば、私は守っていません。読み終わって試してみながら、この順序が正しいのかな、と思い始めただけです。
確実に、品質管理に対する考え方が整理されるし、品質問題に向ける意識が変わります。その変化は決して損になりません。
チケット&計測でITプロジェクト運営の体質改善
計測されないものは実行されない。プロジェクトは計測しなければ運営できません。その計測手段として最も手軽に使えるのがチケットと版管理です。誰もが十分に理解しておくべき価値です。
チケット&計測でITプロジェクト運営の体質改善 [ 神谷芳樹 ] |
現時点の最終版 | 初版 |
タイトル | チケット&計測でITプロジェクト運営の体質改善 | |
原題 | - | |
著者 | 神谷芳樹 | |
監修者 | - | |
訳者 | - | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2013 | |
原出版年 | - | |
出版社 | オーム社 | |
原出版社 | - | |
紙ページ数 | 168 | |
定価 | 2592 | |
分野 | プロジェクト管理 | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | 進行しているソフトウェア開発プロジェクトの可視化を図る 手法 (見える化)を掘り下げて紹介する |
目的合致性 | 4 | 目的を果たそうという意欲は強い |
一貫性 | 4 | 終盤に向けて盛り上がっている印象 |
可読性 | 4 | バランスの問題なのか・・ |
長さの合理性 | 2 | 内容が欲張っているのに薄くしたがっている感じ |
網羅性 | 4 | あってもいいが無駄にテーマが多い |
専門性 | 5 | 管理を知らない人には無理 |
学習容易性 | 1 | 分かった気になりやすいのが危険 |
エキスパート | 1 | 一度理解したら処分していい本 |
実務家 | 2 | マスターするまでは手元に置きたい |
上級者 | 4 | 価値を理解できるまで繰り返し読むべき |
学習者 | 2 | OJTにはいいかもしれない |
初学者 | 1 |
合格
チケットの切り方、回し方を解説する本は多いですが、物理的な意味を解説する本は珍しいです。版管理のブランチの切り方、共同作業のベストプラクティスを解説する本は多いですが、ログの分析を解説する本は珍しいです。
あくまでもプロジェクトの計測を目的として、状況をリアルタイムに可視化することに拘っています。理論的には高度な内容ですが、難しい作業は何もありません。やらなきゃ損だと思わせる力があります。
欠格
プロジェクト管理に焦点を当てて、全くブレずに書いています。そのままだと現場の粒度で発行したチケットの立場が微妙な感じになります。だからと言って管理と現場でチケット管理を分けるのは非現実的です。どうせなら、規律についての指針を書いてくれても良かった気がします。
理論的には高度なのに作業はシンプルです。何も知らない人が読むと、手だけ動かす分には簡単だと勘違いします。断言します。でも正しい。手を動かすのは簡単です。手をどう動かすべきか考えるのが高度な技なんです。その難しさを伝える必要もあるのではないでしょうか。
雑感
プロジェクト管理ツールは山ほどあるし、どれも一長一短です。高額だったり高度すぎてハードルが高いものも多いです。チケットは誰でも既に使っています。版管理もしていないはずがありません。あとは組み合わせるだけです。組み合わせたら何が起きるのか。どんな知識でも、組み合わせて発展させてこそです。
ソフトウェア品質知識体系ガイド SQuBOK
品質は約束です。そして価値そのものです。安かろう悪かろうという言葉が表すように、品質が低いプロダクトに高いお金を払う人はいません。品質の低いプロダクトを継続して買いたい人はいません。品質が低いプロダクトしか作れない人や会社を信頼する人はいません。客なら誰でも、当たり前に約束された事実として、品質を求めています。ソフトウェアも例外ではありません。
この本では、具体的な設計もテストも紹介していません。考え方と方法論を述べているだけです。しかし、網羅性は極めて高いです。執念深さすら感じさせる網羅性の高さこそが、この本の品質です。
ソフトウェア品質知識体系ガイド第2版 SQuBOK Guide V2 [ SQuBOK策定部会 ] |
現時点の最終版 | V2 |
タイトル | ソフトウェア品質知識体系ガイド第2版 SQuBOK Guide | |
原題 | - | |
著者 | SQuBOK策定部会 | |
監修者 | - | |
訳者 | - | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2014 | |
原出版年 | - | |
出版社 | オーム社 | |
原出版社 | - | |
紙ページ数 | 408 | |
定価 | 4320 | |
分野 | ソフトウェア品質 | |
続刊 | V3が進行中 | |
著者による目的 | 過去の経験や得られた知見へと容易にアクセスするためのガイド |
目的合致性 | 4 | 妙に見づらくてアクセシビリティーに疑問 |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 4 | 辞書的に断片化していて図表がほぼ無い |
長さの合理性 | 2 | 可読性が上がるなら倍の厚さでも可 |
網羅性 | 5 | |
専門性 | 5 | |
学習容易性 | 1 | 学ぶためではなく知るための本 |
エキスパート | 2 | 改版されたらチェックする感じでいい |
実務家 | 3 | 品質管理でアイディアがほしい時のヒントがあるかも |
上級者 | 4 | やっと理解できてくる頃 |
学習者 | 2 | 学ぶための本ではない |
初学者 | 1 | 混乱するので読まない方がいい |
合格
取捨選択があるのは当然としても、網羅性において資料文献の頂点。引用している標準規格の量だけでも気持ち悪いくらいです。凄まじい情報量と文字数には、忍耐と根性を持って読むだけの価値があります。
欠格
読みづらい理由を挙げればキリが無い。それが致命的な欠陥です。それ故に、情報の価値に反して資料としての評判がすこぶる悪い。機能ばかり頑張りすぎてユーザビリティーが完全に忘れられたシステムの典型です。品質という意味では、反面教師と言わざるを得ません。
雑感
よくもこれだけネタを集めたものだと感心します。そしてソフトウェアの奥の深さに畏怖します。当たり前のことを当たり前にすることの難しさを、形で表しているような気がしてきます。
.NETのクラスライブラリ設計
古い本です。.NETでライブラリーを開発する時の指針が書かれています。既に10年の月日が流れて、そのまま言うことを聞いていれば大丈夫という内容ではなくなっています。ラムダくらいは入っていますが。
それでも、ライブラリーを作るとはどういうことなのか、オブジェクト指向言語においてクラスライブラリーをどう捉えておけばいいのか、参考になる知見が多々あります。技術が古いから読む価値が無い、と知ったような口を利く輩もいますが、古い部分は新しい知識に置き換えてエッセンスを吸収するのは読者の必須スキルです。専門書を読むというのはそういうことです。入門書とリファレンスを除けば、価値を失う本などありません。
現時点の最終版 | 初版(Kindle) | |
タイトル | .NETのクラスライブラリ設計 開発チーム直伝の設計原則,コーディング標準,パターン | |
原題 | Framework Design Guidelines: Conventions, Idioms, and Patterns for Reusable .NET Libraries, 2nd Edition | |
著者 | クリストフ・ツヴァリナ(Krzysztof Cwalina)、ブラッド・エイブラムス(Brad Abrams) | |
監修者 | - | |
訳者 | 藤原雄介 | |
監訳者 | - | |
出版年 | 2009 | |
原出版年 | 2009 | |
出版社 | 日経BP | |
原出版社 | Addison-Wesley | |
紙ページ数 | 335 | |
定価 | 4500 | |
分野 | 設計 | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | 再利用可能なオブジェクト指向ライブラリである、フレームワークの設計に関するベストプラクティスを提供する。 |
目的合致性 | 5 | |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 4 | 文化の違いは仕方ない |
長さの合理性 | 4 | |
網羅性 | 4 | |
専門性 | 5 | |
学習容易性 | 4 | OOP自体の習熟は前提 |
エキスパート | 3 | 自己流に傾かないように |
実務家 | 4 | |
上級者 | 5 | 毎日読み返してもいい |
学習者 | 3 | |
初学者 | 1 |
合格
.NET標準ライブラリーの設計理念を解説しているようなものなので、中の人が何を考えてこうなったのか、APIを見れば想像がつくようになります。あとはそれを真似してもいいし、自分の感覚を盛り込んでもいい。標準APIと違和感の無い独自APIを設計する場合は、極力この本に書かれたガイドラインに沿うといいでしょう。細かい点に対する著者たちの所感もたっぷり書かれていて、勉強になります。
欠格
英語文化なのですが、論理的な区切りを明確に設けることで、今何を読んでいるのか読者が迷わなくて済むようになっています。これが日本語文化の人間にとっては、過度な読みやすさの追求に感じられ、ページをめくる度にうっとうしくなります。翻訳する時は、内容はもちろん、文化も変換してほしいものです。内容が訳せている前提の話です。この本の翻訳は悪くありません。
雑感
目に触れる部分の開発指南書が売りやすいのは当然です。しかし本当に難しいのはその奥にあるAPIを適切に開発することです。その部分の本が圧倒的に少ないことが残念でなりません。だからこういう本に出会うと嬉しくなります。今は電子で流通しているだけですが、たくさんの人に読んでほしいです。