ライト、ついてますか
問題を解決したいなら、その前に考えるべきことがあります。いわゆる、何を考えるかを考える時間です。まず、何が問題なのか。それは誰の問題なのか。本当に解決するべきなのか。そこまで十分に考え抜いた結果、ようやく、どうすれば解決できるのかを考えられます。
この本では何が言いたいのかよく分からないエピソードが延々と続きます。ジョークのように書かれているので退屈はしないでしょうが、途中までは何を理解するべきかさえ分からないはずです。でも、注意深く読み進めた読者であれば、タイトルの意味が分かった時、自分が何を学んできたのかを全て理解します。楽しい体験です。
ライト、ついてますか 問題発見の人間学 [ ドナルド・C.ゴース ] |
現時点の最終版 | 1版 |
タイトル | ライト、ついてますか 問題発見の人間学 | |
原題 | Are Your Lights On?: How to Figure Out What the Problem Really Is | |
著者 | ドナルド・C・ゴース(Donald C. Gause)、G・M・ワインバーグ(Gerald M. Weinberg) | |
監修者 | - | |
訳者 | 木村泉 | |
監訳者 | - | |
出版年 | 1987 | |
原出版年 | 1990(同じ内容の新版しか入手不能) | |
出版社 | 共立出版 | |
原出版社 | Dorset House | |
紙ページ数 | 176 | |
定価 | 2160 | |
分野 | 問題解決 | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | (それを読者に考えさせること) |
目的合致性 | 4 | 分かりづらさは否めない |
一貫性 | 5 | ある意味 |
可読性 | 3 | わざとなのだが、ストレートな書き方ではない |
長さの合理性 | 5 | これ以上長いと頭が変になりそう |
網羅性 | 1 | 何かを網羅する性質の本ではないため |
専門性 | 3 | 全ての人に有用 |
学習容易性 | 1 | ユーモアを理解するなら「5」 |
エキスパート | 3 | 問題解決のリーダーでなければエキスパートとは誰も呼ばないだろうが |
実務家 | 4 | 一仕事終える度に読み返せば、都度気づきがあるはず |
上級者 | 5 | 問題意識を育てる努力が最も必要な時期 |
学習者 | 3 | 笑いながら斜め読みしておけばその後の理解につながる |
初学者 | 2 | 学習書としては厳しいが楽しい本として読める |
合格
理解しようとすれば困惑するが純粋に楽しむ分にはいい読み物になる割に本当の姿は学習書である。面白いじゃないですか。一見して他人のせいだと思える問題でも、よく考えれば自分の問題だったりする。最初に読んだ時は不条理に思えたエピソードも、今では自然に理解できます。「問題」というものに対する姿勢を正してくれる、姿勢正しくない本。どこまでも面白い存在です。
欠格
だからこそ読みづらい。ものすごく理解しづらいです。後からじわじわ来るパターン。アメリカ人がどうなのか知りませんが、途中で投げ出す人も多いのではないかと思います。読みづらさという「問題」をどう克服するか試されている気がします。
雑感
私はこの本を読む前と後で「問題」についての考え方が随分と変わりました。「誰の問題か」という問いを「誰の責任か」という問いに置き換えてはいけない。問題を解決したければ、まず問題を知らなくてはいけない。「問題を知るという問題」の解き方指南です。