カッコウはコンピュータに卵を産む
紹介する理由
技術書でも学習書でもありません。これはノンフィクション小説です。ネットワークを通じて攻撃を受けた著者が、いかにして一人戦い抜いたか。教科書では分からない生々しさがあります。セキュリティー本を読み漁るのは当然大事なことですが、生臭い感触も知っておくべきです。
基本情報
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現時点の最終版 | 文庫1版 |
タイトル | カッコウはコンピュータに卵を産む | |
原題 | The Cuckoo's Egg: Tracking a Spy Through the Maze of Computer Espionage | |
著者 | クリフ・ストール(Cliff Stoll) | |
監修者 | - | |
訳者 | 池央耿 | |
監訳者 | - | |
出版年 | 1991 | |
原出版年 | ||
出版社 | 草思社 | |
原出版社 | ||
紙ページ数 | 文庫:382(上)、372(下) | |
定価 | 文庫:972(両方) | |
分野 | ノンフィクション | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | - |
総評
品質5段階評価
目的合致性 | - | |
一貫性 | - | |
可読性 | 5 | 緩急のメリハリがあり読みやすい |
長さの合理性 | 5 | |
網羅性 | - | |
専門性 | 5 | しっかり理解するには相応のスキルが必要 |
学習容易性 | - |
適応性5段階評価
エキスパート | 5 | |
実務家 | 5 | |
上級者 | 5 | |
学習者 | 5 | |
初学者 | 5 |
所感
合格
良いところ
単純に小説として面白い。ハッカー対ハッカーの戦いも、著者の実体験としては日常の一コマなのだと教えられます。アタックしてきたハッカーを逆に絡め取ってやろうという方策は、インシデント・レスポンスとしてあまり褒められたものではありません。しかし、正義としては放置もできません。著者は技術とイマジネーションを駆使して罠にかけます。読者としてその頭脳についていけるかどうかが試されます。エンジニアなら負けていられないところです。エンジニアだからこそ、楽しみどころが多い作品です。
欠格
悪いところ
内容的に全く妥当なのですが、文庫で700ページ強は長いです。読書慣れしていない人には敷居が高いでしょう。プロフェッショナルであれば、知識を得られる読書なら喜んで1000ページでも読むでしょうが、意識に訴えかける本は後回しになりがちです。長いというだけの理由で敬遠されていたらもったいないです。
雑感
その他
ネットにつなぐというのはこういうことなのだと改めて感じます。今は手口が大幅に変わりましたが、安心できないことには違いありません。油断大敵。気を引き締めたくなります。