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成長したければ本を読むのが一番。本選びに悩む人たちに指針を与えつつ、小遣いを稼ごうという趣旨のブログ。

ソフトウェア保守開発―ISO14764による

紹介する理由

保守の資料が少ない。専門書となるとほぼ見つかりません。特に不動産建設業界が最悪ですが、保守するということは、作ったものに責任を持ち続けるということです。その極めて重要なテーマに対して、これほどまでに関心が低いのは驚異でしかありません。 ISO14764-2006(JIS0161-2008)の解説を主として、保守開発の全体像を示しています。保守の専門書としては唯一の出版物(私の知る限り)です。

基本情報
ソフトウェア保守開発―ISO14764による
ソフトリサーチセンター
現時点の最終版 1版
タイトル 〜ISO14764による〜ソフトウェア保守開発
原題 -
著者 増井和也、弘中茂樹、馬場辰男、松永真、ソフトウェア・メインテナンス研究会
監修者 -
訳者 -
監訳者 -
出版年 2007
原出版年 -
出版社 SRC
原出版社 -
紙ページ数 228
定価 2600
分野 ソフトウェア保守
続刊 なし
著者による目的 保守の課題解決やプロセス改善を進めるアプローチを第一歩から示す
総評
品質5段階評価
目的合致性 3 紙幅の割に欲張り過ぎか
一貫性 5  
可読性 4 ページデザインに難あり
長さの合理性 2  
網羅性 4  
専門性 4 開発者が保守の難しさを知るには良い
学習容易性 5 良くも悪くも平易
適応性5段階評価
エキスパート 3 ISO本文で理解したい
実務家 4 ISOが難しい時この本に戻る感じ
上級者 5 保守を踏まえた開発をマスターすべき
学習者 3 保守を知らない人になってはいけない
初学者 3 余力があれば
所感

合格

良いところ

保守という分野に本気で取り組んだ本として唯一無二の価値があります。ISO/JISをまともに読むのは本当に大変で、読み手のことを全く考えていない難解な文書と格闘しなければいけませんが、その内容を事例を交えて解説してくれているだけでもありがたいです。保守フェーズの全容が垣間見えます。

欠格

悪いところ

著者の熱が高すぎるせいか、目的を見失っている嫌いがあります。このサイズなら保守開発の全体像を示すことに注力するべきですが、一般的な認知に対する反証、事例の提示に幅を割き、読者が本質に集中することをむしろ妨げています。その反面、具体的なプロセス設計、保守フェーズ特有の構成管理、開発と保守をつなぐツール(あるのかどうかも含めて)、などが全く紹介されていません。どっしり構えるなら上下巻くらいで考えるべきですし、まずは認知を広げようというなら、ISOベースではなく、事例ベースでISOの考え方を適用する方向の本が適していたでしょう。

雑感

その他

あらゆる意味で中途半端になってしまった感はありますが、良く言えば保守というテーマの全体について浅く広くカバーしています。この本の出版後、JISは更新されましたが、ISO 2006を反映してJIS 2008になっただけで、本ではISO 2006をベースラインとしているため、内容は今のところ最新です。 手法の本がほしいですね。