ニューメリカルレシピインC
紹介する理由
21世紀に入った辺りでは、数値計算は一部の研究職以外に用の無いものでした。それが機械学習の普及に伴い、誰にとっても無視できない基礎知識となってきています。数値計算もできないプログラマーの仕事は急速に減っていくでしょうし、その過程で給料が激減するでしょう。学んでおくなら今のうちです。(2018年11月現在)
基本情報
現時点の最終版 | 1版 | |
タイトル | ニューメリカルレシピインC | |
原題 | NUMERICAL RECIPIES in C | |
著者 | ウイリアム・プレス(William H. Press)、ソール・テュコルスキー(Saul A. Teukolsky)、ウイリアム・ベタリング(William T. Vetterling)、ブライアン・フランネリー(Brian P. Flannery) | |
監修者 | - | |
訳者 | 丹慶勝市、奥村晴彦、佐藤俊郎、小林誠 | |
監訳者 | - | |
出版年 | 1993 | |
原出版年 | 1988 | |
出版社 | 技術評論社 | |
原出版社 | Cambridge University Press | |
紙ページ数 | 685 | |
定価 | 5138 | |
分野 | 数値計算 | |
続刊 | なし | |
著者による目的 | 数値計算法のブラックボックスの中身を読者に明らかにする。 |
総評
品質5段階評価
目的合致性 | 5 | 詳しさならかなりのもの |
一貫性 | 5 | |
可読性 | 2 | コードの見づらさが凄い |
長さの合理性 | 4 | もっとあってもいいくらい |
網羅性 | 4 | 極めて高度なもの以外は収録している感じ |
専門性 | 5 | 無限大でもいいかもしれない |
学習容易性 | 3 | コードさえ読めれば |
適応性5段階評価
エキスパート | 3 | 詳細の確認に使えるし、机に原書を置けば格が上がる |
実務家 | 3 | 都度開くには詳しすぎるが落ち着いて復習するにはいい |
上級者 | 4 | 頑張って読み込んでもらいたい |
学習者 | 2 | 読みづらさに苦労するより他の入門書へ行くべき |
初学者 | 1 | 十年早い |
所感
合格
良いところ
アルゴリズムにとって最も重要なのは、現実的な課題に対して適用でき、現実的な環境の下で実行できることです。理屈や数式だけでは、その現実性が失われがちです。効率の問題、精度の問題、正確さの問題、再現性の問題、クリアすべき問題は多数あります。それらがどのように解決され、実装されるべきか、ここまで詳しく具体的に書いている本は他にありません。
欠格
悪いところ
とにかくコードが見づらい。Visual Studioに張り付けて整形したくなります。私も経験していますが、科学技術の世界というのは個人技がものを言います。コードを共有して何十年も引き継ぎながら保守されるということを考えていないし、実際にも行われません。チームのメンバーは全員が似たもの同士のハッカーなので、コードのロジックは読むまでもなく頭に入っています。だからこんなクソコードでも成立します。普通の人には考えられないことです。もっと普通の目線で書いてくれたら良かったのに。
雑感
その他
TeXで書いてるんでしょうね。組版に文句はありません。改めて読めるコードに書き換えて、FORTRANとか要らないのでC#言語で、新版が出てくれないものでしょうか。薄い期待を持ち続けることにします。