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成長したければ本を読むのが一番。本選びに悩む人たちに指針を与えつつ、小遣いを稼ごうという趣旨のブログ。

Python言語によるプログラミングイントロダクション

紹介する理由

はっきり言って、何も持たない人が言語の学習を通してプログラミングできるようになるという幻想は棄ててほしいです。絶対にあり得ないことですから。言語はプログラミングスキルをある程度獲得してから学ぶべきものです。この本は、珍しくそうした正しい認識に基づいて読者を選んでいます。MITの教科書なだけはあります。本の半分はPythonの仕様とプログラミング理論の解説で、残り半分でアルゴリズムの実装を解説しています。プログラミングできる人がPythonを覚えるなら、空を飛んでみるよりこっちがいいでしょう。

基本情報

世界標準MIT教科書 Python言語によるプログラミングイントロダクション第2版 データサイエンスとアプリケーション [ ジョン V グッターク ]
現時点の最終版 2版
タイトル Python言語によるプログラミングイントロダクション
原題 Introduction to Computation and Programming Using Python with Application to Undestanding Data
著者 ジョン・V・グッタグ(John V. Guttag)
監修者 -
訳者 麻生敏正、木村泰紀、小林和博、斉藤佳鶴子、関口良行、鄭金花、並木誠、兵藤哲朗、藤原洋志
監訳者 久保幹雄
出版年 2017
原出版年 2016
出版社 近代科学社
原出版社 The MIT Press
紙ページ数 400
定価 4600
分野 プログラミング
続刊 なし
著者による目的 プログラミングを使って問題解決をする技術を身につけてもらう
総評
品質5段階評価
目的合致性 4 実務的な問題解決にはさらにアルゴリズムの学習が必要
一貫性 5  
可読性 5 Pythonの可読性自体がどうなのか
長さの合理性 4 MITの頭脳がある人には"5"
網羅性 3 introductionとしては"5"か
専門性 4 それほど踏み込んだ感じでもない
学習容易性 3 MITの頭脳が・・・
適応性5段階評価
エキスパート 5 むしろやっと全部理解できるのでは
実務家 5 プログラミング理論を中心として
上級者 4 言語と理論の一挙両得を目指す
学習者 3 高度すぎて厳しいか
初学者 1 最も学んでほしい時期だが難しいか
所感

合格

良いところ

内容の正確さは間違いありません。もし自分の認識と違うことがあれば、確実に正解はこの本です。プログラミングに親しんでいる人にとって、序盤の理論解説は退屈かもしれませんが、その理論に基づくPythonの書き方がどうなのかという視点で見れば非常に有益です。オライリーのように紙が広くて字が小さいという拷問のようなレイアウトではなく、広い中に大きな字で書かれていて、無駄な労力を要求しません。
言語解説が終わると、いかにも理系的な課題をプログラミングで解決する方法が順を追って解説されていきます。プログラミング的思考とはどういうものなのか、じっくり鑑賞するだけでもいい勉強です。

欠格

悪いところ

後半のテーマが急に難しくなるので、目次を見ただけで拒否反応を示す日本人は多いかもしれません。前半だけでも十分価値はありますが。著者はなぜかPython推しで、見やすい分かりやすいを連呼していますが、私には読みづらいです。FORTRANに敬意を表しすぎじゃないでしょうか。

雑感

その他

実務に全く関係ないと言って、アルゴリズムの学習を怠る人が多いです。それは数学的思考が苦手だと認めたくないがための言い訳に過ぎません。現実の問題を理解し、抽象化し、アルゴリズムに落とし込むことが、プログラミングです。言語を使って「文書化」するのはオマケみたいなものです。文書にも上手下手があるように、コードにも上手下手があるというだけのことです。誰にでも、こういう本で学ぶ必要性があります。Pythonの言語仕様は美しくないと思いますが。